グランフィア作成レポート 2007/3/17
ニトロプラスの「月光のカルネヴァーレ」で主人公ロメオが使う大型ナイフ「グランフィア」を作ったときの製作工程をまとめます。
おおざっぱに作成は以下のような手順で作りました。
1.制作方法考案
2.型紙作成
3.プラ版切り出し
4.プラ版接合(刃、鍔、柄接続)
5.パテ盛り
6.削りだし
7.塗装
では順を追って説明します。
1.制作方法考案
まずは「どうやって作るか」を考えるところから。
僕はこの手の造形物としては以前に「SIG P226純子カスタム(ハローワールドで純子さんが使っていた銃についているレーザーサイト&カメラという設定のオプション装備)」を作ったことがあるんですが、今回はどうやって作ろうかと。
そのときはプラパイプ大小とプラ版、パテを使って形を作ったんですが。
(写真右上が自作のもの。左下のは自作して一年後くらいに大日本技研から発売されたオフィシャルアイテム)
まず刃物系のコスプレ小道具を作ってレポートしているサイトを探してノウハウ吸収。
すごいところだとFRPを使うというような人も居ましたが僕の現在のスキルでは色々と無理があるのでこれは不採用。
あとライオンボードを熱で柔らかくして加工というのもあったのですが、難しそうだったのでこれも放棄。
結局前回純子カスタムを作るときと同様「プラ板+パテ」で作ることになりました。
さて、今回のナイフのポイントは次の画像のような感じで、刃の真ん中に空いた三日月型の穴。(著作権の問題があるのでモザイクかかってます。作りたい人はゲームやってるからいらないよね?)
そしてナイフですから一枚のペラい板ではなく、厚みがあって刃の部分は斜めになるわけで、そこをどう作るかも大事。
結局下記の図のようにプラ板を重ねて斜めの部分にパテを盛るという手段で作ることに決定しました。
(下図は断面図)
困ったのは厚み。これは以前ニトロワールドでサークルさんから買った「サド公爵の愉悦(ヴェドゴニアに登場する凶悪なナイフ)」がちょうど近い大きさだったので、それを参考に厚さを5mmに決めます。
2.型紙作成
最初はゲーム中の画像と、通販特典のキーホルダー画像を元に手書きでやってたんですが、相方がゲーム中の画像をPhotoshopで平面に変換してくれたのでそれを拡大して切り出しました。
サイズについてはキーホルダーの画像を拡大しておおまかに作っておいたのでそう苦労しませんでした。
必要なのは刃の最も広い部分と、狭い部分の二種類、あと柄と鍔ですね。実は鍔は適当に作っていて型紙を作っていません。
これをプラ板にマジックで写し取ります。ペラいコピー紙に印刷したのでやりづらかったです。これからやるひとは厚めの紙に印刷して型紙にしたほうがいいでしょう。
1mmのプラ板を5枚重ねて厚さ5mmのナイフにするので、B4のプラ板をめいいっぱい使って刃の部分を書き写します。
あと柄用の素材の為に柄の形を2枚分プラ板に書き写します。
3.プラ板切り出し
プラ板を切るに当たっては、半田ごての先がナイフになっている「ヒートカッター」を使いました。1500円くらいでホームセンターとかで買えます。半田ごての売り場にありますが、種類は少ないかも知れません。
基本、ワット数の多い方が熱量が多いので加工が楽でしょう。僕は40wの奴を買いましたが、プラ板を連続して切って行くにはいささか力不足を感じました。60wのもあるようなのでこういう加工にはそっちのほうがいいのかな・・・火傷するので扱いには注意しましょう。
あと大事なのは下敷きとか使わないで空中で切ることですかね。カッターが台にひっかかってうまく切れませんでした。板を立ててナイフに重みを掛けながら溶かし切っていく感じで、この作業はけっこう疲れます。糸鋸みたいなタイプのヒートカッターがあったらそっちのほうが切れ味もよくてバリが出なくていいのかもしれませが、あいにくそういった道具は手に入りませんでした。探したらあるのかな。
で、今言った「バリ」が出る話。切断面がけっこう盛大に盛り上がります。後で邪魔です。まあこれはヒートカッター使って加工するなら仕方ないので諦めて後で切り落とします。直線の加工ならプラ鋸とかPカッター(だっけ?ひっかいて溝を掘るようなカッター)とか使う方が早いんですけど今回は曲線の嵐なのでヒートナイフがベストだったようです。
この作業で、一番刃の広い部分1枚と、狭い部分4枚を切り出します。
くわえて鍔(1枚)と柄(2枚)を切り出します。
4.プラ板接合
先ほどのバリを可能な限り落として平らにしたプラ板を、プラスチック用接着剤で付けます。
だんだんそれっぽい形になって来ました。
完全にくっついた頃を見計らってこんどは鍔を差し込みます。それから刃の部分のはみ出したところを挟むように貼り付けます。画像のような感じで。
このとき僕は刃の部分から余ったところを切ってしまったので苦労しました。
刃から貫通して柄に伸びる部分はなるべく残した方がよいでしょう。
柄がこんな状況ですが、ここはパテとか詰めてそれっぽくするので問題ありません。
5.パテ盛り
エポキシパテを練ります。一度に沢山練ると楽だけど後で後悔します。まあ、硬くなって加工しづらくなった奴は柄の中身に詰め込んだんですけど。
一応、パテが乗る部分はヤスリがけとかしておくと食いつきが良くなります。僕は忘れましたがなんとかなったみたいです(汗
で、刃の斜めになる部分に盛っていきます。エポキシパテはひけが無いのですが、少し多めに盛っておいた方が良いです。散髪と一緒で切ったら足せない(まあ、この場合足せますけど面倒だから)ので。
パテは指を塗らしておくとくっつかないらしいです。ただしパテが塗れていると他の素材との接合に不都合あるかもしれないのでその辺は気をつけて。
6.削りだし
パテは数時間で硬化します。固まったらデザインナイフやカッターナイフで削っていきます。
で、今回はデザインナイフだといろいろ不便がありました。デザインナイフは刃が小さいので奥の方を削ろうとすると絵の部分が当たってしまうのです。
そこで活躍したのが大きなカッターナイフ。刃がいっぱい出せるのでがりがり削れます。刃を替えれば切れ味も文句なしです。ああ、削りすぎに注意しましょう。
ある程度削ったらヤスリの出番です。ヤスリがけはテクニックとかないです。根気と丁寧さです。番目は色々用意した方が良いです。棒ヤスリと紙ヤスリと両方あったほうがいいです。最初は棒ヤスリで、細かいのは紙ヤスリで。そのへんはもっと詳しいサイトで調べて下さい。
7.塗装
やすりがけしたり、塗装したりを繰り返しながら整えていきます。行き当たりばったりともいう(ぉ
途中エポキシパテだけじゃなく、ポリパテ(Mr.パテホワイト)を使ったりもしてますが、やっぱり僕には使いにくい素材みたいです。次からは使わないでやろう。
今回、最初は鏡面加工を求めていたのですが、どうにも素人が手を出すとろくな結果が得られないという結論に至り、モデルガン用の評判の良い塗料を探すことにしました。
結果、最初とはちょっと思惑が変わりましたがG.スミスの「新・艶銀」という塗料を買うことにしました。大体2500円くらいでしょうか。
どうもこれは下地に黒を塗った方が高級感ある色になるらしく、最初サーフェイサー(灰色のスプレー)を噴いて凹凸をわかりやすくしてパテ埋め>ヤスリがけを繰り返していたところに黒いスプレー(たまたま以前の工作で使おうと買って納得いかなかったので使っていなかったモデルガン用スプレー「ダーク・パーカー」)を下地にすることに。メーカーの指定は違うんですけどまあ余ってるモノは使わないとお金がかかるしね。
で、サーフェイサーの上に直接の時と下地に黒を塗ってからの時とを比べましたが、前者はやや玩具っぽく、後者の方が暗いけどちょっと高級感ある感じに・・・最終的に採用したのは黒下地に銀スプレーの方でした。
しかしこの銀スプレー、えらく臭いので屋外での作業必須です。冬場寒いけど、部屋がとんでもないことになりますよ。
この時点では柄の方はまだ塗っていないので、糸をカウボーイの縄よろしく輪っかにして吊し、乾燥を待ちます。
刃の塗装が終わったらこんどは柄です。柄は今回エナメル塗料を買ってきました。
思ったより色が暗かったかな・・・二種類の茶色を使って木の素材感を出そうとしましたが、結局握って隠れてしまうところなのでそんなにこだわっていません。
こっちを乾かすときは刃の月の部分をつかって引っかけ・・・思わぬ副産物でした。
8.結果
こんなかんじになりました。けっこうでかいです。(上はキャスト製のサド侯爵の愉悦。僕の自作ではありませんよ)
一応コスプレするときに使っているカートに収まる長さなので移動用に袋が居るとかそういうことはありません。せいぜい欠けたりしないようにクッションでくるんで運ぶように気をつけるくらいでしょうか。
よく見るとパテ盛り>やすりがけを繰り返しているアラが気になるのですが、キリがないのでここで作業打ち止めです。時間を掛ければいくらでもクオリティは上げられるのですが・・・
後で気づきましたが、柄頭はこれとは違った意匠になっています。これから作る人はぜひその辺もゲーム中の画像をよく見て再現に挑戦してください。