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"Hello,world."感想

僕が始めて出会ったニトロのソフトはヴェドゴニアであった。
これは面白い、と思ってニトロプラスから他のソフトが発売されていないか調べてみたが、当時はファントムしかなかったのである。
どうせなら音声が入ってる奴がいいや、と思って後にDVD版を買った。(時期的にはハロワ広告を初めて見てから後だったと思う)
無論、ファントムも面白かった。
そしてどっかの雑誌広告でハロワの広告を見たのだが、ヴェドゴニアとファントムをプレーして「これは今までの路線とずいぶん違うなあ」と思ったのだった。
ああ、これは買わないであろうなあと思って僕はハロワ以降の作品を待った。
そしてけっこう何年か経ったような気がする去年の11月ごろ。
ネットをうろうろしていると「ハロワが激しく面白いっ!」という感想を載せた某サイトを発見する。
僕はかつてハロワの広告を見て「ああ、ぷに絵だし別にただの学園ADVなんて求めてないし、イマイチ買う気がしないなあ」と思っていたのだが、その日記の紹介ではかなりSF色が濃いと語られている。
SF好きな僕はさっそく僕は体験版を探してきてレッツ・プレイ。
主人公がロボット?なんかいちいち思考の経路がAI臭くて「良い」っ!
コンピュータサイエンスをかじっていると、いわゆる人工知能ってやつの実現に対する難しさというものは嫌でもわかるのだ。
それをある程度説得力ある設定で見事に納得させられる。
そりゃあもちろんサイエンス・フィクションであるから詳細には触れられていないし、ものすごい専門家の視点で見ればまだまだリアリティに欠けるものなのかもしれない。
それでも「無機知能」「クラスタ」「電覚」などのキーワード。僕が求めていたSFはここにあった。
既にこの時点でなかなかグッドだなあと思っていたら、和樹がHIKARIに回収されるシーンで体験版は終わってしまった。
うーん、なんだか知らんがこれはたまらなく面白そうだ。
なんだかんだで買う機会を逃して遅れること数ヶ月。2003年の2月頃だったか。ついに僕はハロワ製品版を手にした。

ストーリー解説
序盤のラブコメから中盤のシリアス、そして終盤の派手なアクション、
無論エンディングは涙なくして語れない超大作SFノベルゲーム。
ロボットである主人公が人間の感情を調査する過程で次第に自らも感情を持つに至り、恋をして苦悩し、愛する人を救うために戦う。
アトムははじめから人の心を持っていたが、この物語の主人公は始めから高度な人工知能(ハロワでは無機知能というがジェットで扱われる)を持っているが「心」は持ち合わせていない。
僕が求める重要なサイバーパンクのファクターである。
人にあらざるものが人になる物語としてはピノキオ(それをモチーフにしたA.I.などのSFもあるが)があるが、主人公和樹は妖精にお願いして人にしてもらうのではなく、人と接するうちに人としての心を得るに至る。
僕の趣味もあるが、ハッキングや主人公がロボット(無機知能)でなければできないようなアクションシーンもサイバーパンク的に熱い所は僕の評価が高い理由として大きい。
そして舞台である2020年、世界観考証も緻密でなかなか興味深い。

以下、クリア後の感動を分かち合いたい人もしくはプレイする気の無い人のためのネタバレ的感想
(反転じゃありません。ずーっと下にスクロールしてください)










































序盤:HIKARI編
序盤のラブコメ&漫才的要素は純粋にSFが欲しくてプレイしてる人には辛いかもしれないが、
後々の感動や感情移入のためにはけっこう重要な要素であると思われた。
僕の場合は純粋にストーリーを楽しんだし、生真面目が笑いを誘う和樹の行動はなかなかにツボだった。
それにしても無機知能の表現や主人公和樹の中の心理状態(この次点ではまだ心理状態というよりも論理思考状態と呼べるだろう)の描写は十分SF要素的に面白い。
HIKARI編クライマックスのパーカー男との対決では既に感情移入しまくっていたので「物語的に和樹が負けるはず無い」と分かっていてもはらはらどきどき。
そしてHIKARIとの対話シーンでは挿入歌は流れるわ和樹は熱く語るわで「おお、物語完結かー!」と思ったがよくよく考えると張りまくった複線が全然解消されてない。
いつもは映画を見ていてもなんだか先の展開が読めてしまって気が散って感動できないのだが、なぜかハロワは珍しくそんなことお構いなしで感情移入しまくっている為気にもしていなかったのだ。
HIKARIが消えて、純子さんと佐知美さんにロボットであることがばれてしまった時、「これから僕はどうなるんだろう、もう日常には戻れない」と考えている和樹を、不正が嫌いな筈の純子さんが見逃してくれる。
邪魔な警官、という彼女への評価が「この人は良いお姉さんだ〜」と反転。
「忘れ物よ」と言って差し出されるエテコウが「ワスレテイッチャヤダー」というのが追い討ちをかけるように涙を誘った。(とはいえ僕の涙腺はかなり硬いので、顔をゆがめて涙を堪えるに留まったが、それでも感動したことには変わりない)
わかってる、このペットロボットのは普通のプログラム反応なのだ。でも、なんでか泣けるのだ。
「子供よね」「子供ね」と子ども扱いされる和樹も微笑ましかった。

中盤:IZUMO編
で、エンディングには入らず、つ、続くよなんか止まらないよ〜と思ってると、遥香の修復が完了して無機頭脳を搭載した和樹の妹の誕生である。
雷蔵に笑い飛ばされて研究所を封鎖される深佳が不憫だったが、遥香の誕生は嬉しい。そして無機知能が、和樹にも搭載されている無機知能のブラックボックスぶりが垣間見えて興味をそそる。
よくもまあこんな得体の知れないモノを目の当たりにして久我山姉妹の質問攻めをうまくかわしたなあと思う。僕なら質問攻めだ。
さて中盤はラブコメ生活再始動。
のはずだったのだが、メインヒロインの奈都美がパーカー男の策略で負った心の傷、そして圭介の復讐。ラブコメがだんだんシリアスになっていく。序盤ではかおるんはツッコミ担当の楽しい日常を演出するキャラ、という位置づけで見ていたため明らかになる過去がシリアスでキャラ深いなあと。
こんなで品川圭介の動きは不穏になってくるわ奈都美は登校拒否だわと、かなり精神的に辛くなってくる。
若佳菜ルートでは若佳菜先生が酒に逃げちゃうし。うわーなんか不穏な感じになってきたぞ。ハートフル学園ADVじゃなかったのかよ。
そんな苦悩する中盤において、疲れた気分で帰宅すると
「兄さん、おかえりなさい」
と出迎える遥香。その穏やかな声はその日一日の苦悩を拭い去ってくれるかのようだ。
今まではせいぜいエテコウが帰宅したときに「オカエリ、オカエリ、ウッキー」と言ってくれる(これもこれでうれしかったが)だけだったが、癒し系BGMが相乗効果をもたらすのか(実際ZIZZのサウンドは良い!)、劇中の和樹と同じように幸せ気分になってしまうほどだ。
純子さんと佐知美の酒盛りシーンはこれまた別の意味での癒しだったり。
学園での日常がシリアスになって行く反動で、遥香や純子さん、佐知美というサブヒロイン(佐知美はヒロインってかんじじゃないか・・・)とのコミュニケーションが癒しになっていく。
そして陰謀が動き出しさらわれるヒロイン達。(もしくは巻き込まれるヒロイン)
人間でないことがばれない様にと実力を制限されながらも、純子さんという強力なパートナーを得て神田川の陰謀をみごと打ち破り、和樹はヒロイン達を救い出す。
この辺ちと中だるみかなあ。
別のところの感想でも書かれていたけど、戦闘状況の描写がわかりづらかったりする。
そしてやっぱりここでのかおるんの扱いは悪い。不人気になるわけだ。ていうか圭介もかおるんも感情的になって後先考えなさすぎ。
千絵梨さんが難波さんと出会った辺りのエピソードの説明不足はやはり否めない。ある意味どうでも良かったのかも。
この章で良い味出してるのは久我山姉妹の父である雷蔵さんであろう。
最初は「かーっ!このオヤジ頭硬いっ!」と思っていたのだがそこには秘めた愛情があったわけだ。

終盤:オシリス編
再び平和を取り戻し、人間関係の苦悩もほとんど無くなっていやぁめでたしめでたし、と思っていた矢先に黒幕である存在オシリスが遥香を支配して物語は一気に暗転。
遥香のこの薄気味悪い笑みはなんだっ!と戦慄し、得体の知れない不安と怒りの入り混じったような感覚を味わう。
エネルギースタンドの爆破で破壊されてしまうあたり、「なぜ抗わなかった遥香!」と思ったのだが、その答えは遥香ルートの終わりのほうでちょっとだけ明らかになったり。さすがは無機知能というか・・・人としての感情の再現は完璧だなあ。
コンクリートの護岸で動けなくなる和樹の絵が非常に痛々しい。ここまでで二股かけてたりするとバッドエンドになってしまうらしいがそれは見ていない。(別にスタッフロールが流れるだけでなにもないらしいが、二股かけてると面白い事態が見れるらしい)
影山医師に助けられ、奈都美を守るために動き出す和樹。でもこのあたりで味わう焦燥感は和樹が人間の感情をほぼ完璧に持ち合わせるようになり、且つ周囲への愛情や人として暮らして生きたいという執着などを持つようになっているだけに序盤より深刻なものを感じる。
奈都美にロボットであることがばれてしまう時はもう、文章を読みながら「彼女に拒絶されてしまう!」と脳内シミュレーターは嫌われた後にどうなるか予測できないというハタから見れば純粋に先が読めなくて物語を楽しむには絶好のコンディションに。
しかしニトロは裏切ってくれました(良い意味で)。
奈都美はそこで「痛くない?」と気遣う台詞。
あまりに純真でやさしいやり取りにこの時点で涙腺決壊。今まで別にこのヒロインに魅力なぞ殆ど感じていなかったが、これはずるい。男心(感情移入しまくっているが故にロボ心と同義)を鷲掴みである。
ていうかこのあたりの葛藤を書くのが上手い!こんな感情は和樹がほんとに人としての感情を得ていなかったら出てこないものだ。
そして圧倒的に不利な状況で戦闘用に作られたボディの偽者(パーカー男)と半壊状態の和樹の戦い。
「良かったな」と微笑む偽者に「あれ?もしかして今のは茶番で奈都美の愛情を引き出すために仕組んでくれた演技だったの?」なーんて思ってしまった僕は甘かった。
腕は千切られるはその腕胴体に突っ込まれるわ、もうパーカー男への怒りは頂点に達するものの、この状態の和樹に勝機は無いわけで。つくづくタイミング良いよな、純子さん。
しかしここで偽者の体と自分の壊れた体を交換するという発想はなかなか関心した。
大体ヒーローは物語の中で一度敗れて、そのときに大きくパワーアップしたりするもんだが、敵が和樹の外見を似せた物だという条件をこんなに上手く使うなんて。
さて次はお待ちかね、ハッキングを駆使して戦闘機F22を操り、ドッグファイトを展開してオシリスのベルクートから千絵梨を救うこのシーン、ハロワをプレイした人はみんなこのシーンは大好きだと思うのだが、ここは音楽も「ロック」してて非常に良い。
ロッキングアウトや東京上空ドッグファイトが流れ出すと「きたきたきたきたーっ!」という感じ。テーマ曲を歌ういとうかなこさんもこの曲は好きなのだそうである。
そしてそれを宣戦布告に始まる真のグローバルイルミネーション。
純粋に人間を効率よく滅ぼすために感情を調査する、なんて事を思いつくオシリスが恐ろしい。人間の疑心暗鬼を煽って暴動を起こさせるなんて、確かに今までのありがちな「人類に反旗を翻すAI」ではやらなかった。
でも攻殻機動隊の一巻でフチコマが素子に反乱の意思を吹き込まれて実際反乱に至るか、というテストの時「ハイ、人間なんて自分たちで殺し合いさせれば良いと思いまーす」なんて台詞が出てるあたり、けっこうAIからすれば人間同士をマインドコントロールして自滅させるという発想は難しくないのだろうか。

ヒロイン別ストーリー&エンディング

愛原奈都美
 さすがはメインヒロインの風格で、ほとんどのストーリーが彼女の為のものと思える。
アホっぽいしゃべり方が好きでないという事から、あんまり好きな性格のキャラクターではないが、その純真さの破壊力は絶大で、偽和樹との対面の時の台詞でノックアウトである。
さらわれてばかりで役立たず、と見えなくも無いがきっちり和樹を精神的に支えている。ヒロインの役割をちゃんとこなしているのだ。
しかし他のルートを通っても強制イベントで奈都美は北城霧江にさらわれてしまい、奈都美に対して「かならず助ける」と言っておきながら他のヒロインを助けに行けてしまうのはなんか気分的に不味いと思うのだが。
僕は初回プレーでこのルートに至ったので、息付く間も無い追跡劇はなかなか良かった。
某所の感想では「ニトロのヒロインで始めてさらわれるお姫さまを演じきった」とあるが、まさにその通り。
ノーマルエンドは数少ない和樹が幸せになれる結末だったのが嬉しい。
エンディングテーマは「真珠のうた」で、二人で地球を見つめながらというシチュエーションに合っていて良い雰囲気を出していると思う。

笹ヶ瀬薫(かおるん)
 前半ツッコミ担当、後半足手纏いというなんとも損な役回りのヒロイン。
でもエンディングは好きだ。和樹の死を乗り越えて強くなった薫先生は魅力的である。
彼女だけオーバーニーソックスであるという所がかおるんファンに受けている最大の原因らしが・・・
彼女を攻略しなければ男女間の友情を実現できる良いキャラクターではある。
たしかに和樹の足手纏いになるばかりの彼女ではあったが、普通の人ってそんなもんだろう。僕は周りで言われているほど嫌いじゃない。

北城千絵梨
 このヒロインルートを選ぶとかなり裏事情の解説になるが、好きなエピソードである。
彼女のルートに入ると、とたんにわがままで自己中心的な本性を発揮してしまい、嫌いだという人もいるけど、あの焼きもち具合は秀逸なラブコメとして楽しめた。
女の子ってあれくらい我が侭でも許されるんじゃないか?あれって愛情表現だと思うし。むしろホントのわがままってのはどうにもならんことを何とかしろというようなモノだと思っているので。
とにかく千絵梨ルート最大の見所はエンディングの和樹突撃シーン。
一部「鬱エンドだ」という声もあるがやっぱり僕としては最も「燃える」エンディング。
あまりの壮絶さに絶句してしまうが、遥香の冷たい台詞といい銃弾の雨の中で愛を誓うシーンといい、演出としての「BLAZE UP」が最も似合うエンディング。
和樹がカッコいいよ!

久我山深佳
 正直、お子様は守備範囲外なのだがせっかくだからコンプリートしてみるかー、と攻略したヒロイン。
想像以上に健気で性格が良くてやられた。僕はロリコンじゃないのに・・・
せめてエンディングで出てくるくらいのたっぱ(背丈)があればなあと思わずに居られない。胸無いのはよいから。
このルートでは深佳が和樹に惚れて行く過程が非常にわかりやすいと思う。
そしてこのエンディングも好きだ。大切なものを沢山無くしてしまったけど、力強く生きる深佳が非常に魅力的に描かれていると思う。

久我山若佳菜
 お姉さん属性直撃なこのヒロイン、最後まで取っておいたのだがいやはや他のルートからは想像も付かない大人の展開に「これってニトロだよなっ?!」と驚いた。
気丈に振る舞ってはいるが実は弱い人。精神的に強い人が好みなのでプレイ前の評価からはかなり落ち込んだ。
さらにエンディングがかなりの鬱で凹んだ。この人最後に持ってきたのは間違いだった〜
最後に身を呈して和樹をかばうというのは最後に見せた彼女の精一杯の強さであり、愛情を示すものであるが、
なんだろうこれは。愛するがゆえに失う悲しみというやつの表現としてはアリなのか?
これが一番好きなエンディングだって人も一応いるみたいだし。
でも急に妙な日常が展開され始めてリズムを狂わされる演出の仕方はちとバッド。
そんで二人の亡骸を抱えて呆然とする和樹の姿にはこりゃちょっと希望は持てないなあと思ってしまう。
和樹の立場からすれば愛する人を守れなかった失意はかなり大きい。
事前に深佳エンドをクリアしてると特にその喪失感は大きいと思う。辛いよ〜

友永遥香
 裏ヒロインにして他の5人を食ってしまう魅力の持ち主。
ロボットなのに車椅子だし癒し系だし、オシリスに目覚めた後もまたこれはこれで魅力的だし。
和樹は人間という立場で、だから妹と言う立場を取らざるを得なかった遥香。
そのあたりの苦悩がオシリスに逆らいきれなかった(精神的弱さに付け込まれたとも言えるか)理由だというのは明白だが、他のヒロインを選んでもトゥルーエンドでは最後に一瞬だけ元の遥香に戻ってくれる場合があって嬉しい。
やっぱ愛し合う者同士が殺し合わなきゃならないってシチュエーションは燃えるねえ。
でも和樹が遥香の救出の仕方をもうちっと工夫すれば人類崩壊を防げたんじゃないかと思うんだよな。
キスじゃだめだったのか?あそこで逆上して「やっちゃう」から時間かかって間に合わなくなっちゃったんじゃ・・・
既にどこでも言われていることだけど、BLAZE UPの歌詞は遥香の為の歌詞だと言うのには賛同する。


その他キャラクター

パーカー男
 「俺を笑い死にさせる気かぁ!」がくどくて不快感を煽る大悪党。
人を苦しめる為に感情を利用するってあたり実に許しがたいというか、悪役としてはこの上ない悪役なのではあるが。
こうして僕の怒りをとことん引き出せているあたり、悪役としては大成功なキャラクターだ。
でもそういえば偽和樹として登場したときはこの台詞吐かなかったような。
それでも和樹を精神的にいたぶろうという姿勢は変えなかった。地獄に落ちてしまえ!

神田川むつお
 小悪党。そのくせしぶとい。和樹そいつぶっ殺して良し!と何度思ったことか。
 まあ、こいつも悪党としてはまあ物語上欠かせないわけで。憎まれ役お疲れ様でしたって感じかな(楽屋落ちかよ)

北城霧江
 千絵梨ルートでのこの人はホントに恐い。
パーカー男が単純な狂気で、神田川は欲望を理由にした悪党であるが、霧江は憎しみが原動力の悪党であるからして質が悪い。
しかしお願い君信者とはねえ。奈都美を襲うときまでまったく複線もなかったのに。

古屋都
 この喋り方は嫌いである。この声優さん嫌いじゃないとおもうのだが、要するにキャラクターが嫌いなのだ。
頭いいくせに社会適応性が皆無で善悪の区別が出来ない。
ノーモラルな人間って大嫌いなので、チャイナでお姉さんなんてツボな筈なのだがさっぱり駄目であった。
まあ悪党キャラだから憎まれて当然だろうか。この人の場合の悪党属性は「無自覚」か?

オシリス
この物語の黒幕であるが、よくまあ「人を効率よく滅ぼす為に人間の感情について情報収集する」なんて事を思いついたもんだ。
この部分を考えたのは虚淵氏だろうか。南条氏だろうか。
人工知能が反逆を起こしてうんぬん、なんて話はターミネーターのスカイネットなどがあるし古典的なネタではあるが、人の強さが心に起因するというところまで突き止めてこういう攻め方をした前例はないんじゃなかろうか。
グローバルイルミネーションが発動して暴動を起こした人々を見るに寒気すら覚える恐怖があった。
そしてこれがフィクションで良かったなあと思うと同時に、SFが未来への警鐘であるという事も思い出した。

品川圭介
 主人公の親友、という立場になる圭介。途中まではいいんだが、中盤から扱いが悪くなる。
もうちっと和樹との友情を豊かに表現してほしかったなあ・・・
終盤では影すら出てこないのが悲しい。
せめてトゥルーエンドではかおるんと合流させるとかして欲しかった。

帯刀
 千絵梨の執事の帯刀さん。初老の域にありながらマーシャルアーツを使いこなし特殊なヘリを操縦し、銃器も扱えるスーパー執事だ。カッコイイ!
千絵梨への忠義は孫への愛情と言えるような感じで、彼なくして今の千絵梨は無かったであろう。
こっそり霧江に内緒で絵を修復してくれたりするエピソードも彼の優しさを物語るものである。

久我山雷蔵
 久我山姉妹のお父さん。IZUMO編のところで述べたが、最初はあたまくるオヤジだなあと思っていたがそれは理由あっての事。
あれは彼なりの家族の守り方だったのだ。何度深佳を誉めたかっただろうか。それでも神田川に目をつけられないようにするには研究を止めさせるしかなかったのだから。
母親が植物状態で生きていることも隠し通して、全部自分で背負っていた人であり、最後の方では和樹に向かって「娘を頼みます」なんて言えてしまう立派な人である。

影山貴神
 謎の医者。結局ヴィジュアルファンブックでもその秘密は明らかにされなかったが奈都美を監視していたという事で、修正遺伝子関連の偉い人。
もっとも、自宅診療所ではサイボーグ(ロボット)も手術できるような全自動機械を備えていたり謎は深まるばかり。
奈都美が天才であることを既に知っていたが、修正遺伝子の持ち主ってかならず天才ってわけでもなかろうに。それに天才って遺伝子で決まるの?やっぱ遺伝子学以外の色々な知識を持った人なのだろう。さすがはBJへのオマージュである。

影山そあら
 貴神の助手としてひっついてまわる少女型ロボット。
かなり和樹や遥香に近いロボットであるが、これも謎のまま。ほんと気になる。
感情云々はSHIORIの影響なのだろうが、ハードウェア的に和樹たちに近いので人間側のグローバルイルミネーションの産物だと思われるが。
「わたしはセンセーの恋人です」なんて語るあたりが子供っぽくてかわいらしいが、終盤では貴神を本気で追いかけるなどけっこうマジっぽい。ホントはどんな関係なんだ?

入間佐知美
 キャラクターの職業がリポーターという事もあってちょっと好きにはなれないが、根は良い人。
特にかおるんルートではお姉さんぶりを発揮してちょっと輝いて見える。
しっかしこの声優さん演技力っていうか成りきりっていうかすごい。
キャラが非常によく立っているのは南条しかし氏のシナリオが秀逸なだけではなかろう。

麻生純子
 ニトロのヒロインは戦闘力に比例して人気があるって言うけど、僕は戦闘力じゃなくて精神力じゃないかと思うのだ。
序盤は「あー頭の固い警察か?」と思って警戒する人がほとんどだと思うが、中盤以降のその魅力は大勢が認めるところでオフィシャルHPでの人気投票もかなり好成績だ。
やはりその誠実で真面目な性格と正義感、なおかつ和樹を見守る姉のような慈愛。そして共に戦う戦友としての魅力。ニトロのヒロインはこうでなくっちゃというツボを押さえまくり、キスシーンすらないこの人が僕の中ではハロワのトゥルーヒロインである。
偽和樹のボディに移植した直後の、BGM「決意」が流れるシーンでは毎度名台詞を聞かせてくれる。
みんな思ったはずだ。「純子さんを守りたい」って選択肢が無いのはどーしてだっ!と。
でもなんか似合わないか。「みんなを守りたい」を選択することが、すなわち純子さんにとっても自分を選んでもらったのに匹敵する選択なのだと思う。たとえ和樹が
「僕は・・・純子さんを守りたい」
なーんて言ってしまっても、きっと彼女は微笑みながら「みんなを救いに行きましょう」と言ってくれるのだ。
久我山姉妹ルートを辿ると純子さんは和樹の為に死んでしまう。特に深佳ルートは壮絶。
どこかのルートで彼女がいう「この事件が解決したら一緒に組まない?」というのがどうあっても実現できないのが非常に惜しい。SSでも書いてやろうかという勢いで悔しい。
ハロワ完全版が出るなら是非攻略対象に、とは思うものの反面、濡れ場など無いほうがイメージを崩さないで良いなあとも思える。(完全版出るなら全年齢対象だろうからそんな心配はいらないと思うけど)

友永和樹
 この物語の主人公。燃えにして萌えと言われる最高のヒーロー。
やさしくて純粋で強くて、筆舌し尽くせぬこの魅力、今までこんな主人公居たか?
ヒロインのところで敢えてトゥルーエンドにほとんど触れなかったのは、トゥルーエンドは和樹の為のエンディングだと思うからだ。
偽和樹との戦いで満身創痍の和樹が戦闘機F22をハッキングしてオシリスの操るベルクートと戦うドッグファイトシーンも、和樹でなければ為し得ない戦いだ。
ネットワークを駆使しヒロイン達を適切にサポートしながら戦う和樹、これもさすがは無機知能。
ネットワーク崩壊を防ぐ為に自らを犠牲に世界を救う和樹。「約束、ごめん」
多くの約束を守れなくて、それでもやっぱり大切な人たちとその世界を守りたくて。
どんな気持ちだろうか。涙しているけど不思議と怖くは無い。幸せに近い気持ち?
もうここで涙せずには語れない程。
ヒロイン達が和樹に惚れたのは、初めは奈都美の思い込みから伝播したものだったと思うけど、後半ヒロイン達が真に和樹を信頼しているのは本当に彼の魅力に拠るところだ。
他のニトロ作品の主人公が「生きる為」「復讐の為」「悪が許せぬがゆえ」に戦っているのに対して、和樹の理由は「愛する人たちを守りたい」という理由がもっとも顕著に表れていると思う。
無論他の主人公達も愛する人の為に戦ってはいるが、和樹の場合はそれが既に人類全体への博愛の域に達している。
HIKARIに語り掛けるシーンでの「人は、しあわせでありたいとささやかな願いを秘めているはずなんだ」という辺りの台詞に「人間って、純粋な目で見たらこんなに救いのある生き物だったんだな」と思い直させられる。
元々自己犠牲という奴がツボで回避不能なのだが、それにしても良すぎる。
トゥルーエンドエンディングテーマ「煌星」は彼を失った全ての人たちの思いで、あまりに切なく涙を誘う。
どうも和樹に関しては感情が先立ってしまうのか上手く感想をまとめることができない。
なんとなくだけど、ハロワをプレーし終わって和樹にありがとうと言いたくなる。
そんな気持ちあなたにも無かっただろうか。

長い駄文ですみません。

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