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"アコースティックアストゥーリアスライブ
in STAR PINE'S CAFE"
2005/04/24 ライブレポート

ライブ開始前
 STAR PINE'S CAFEは吉祥寺駅北口から三越方面に向かって、三越を越えた角を曲がるとすぐそこにある。
僕と連れは場所を確認してから腹ごしらえに通りを挟んで反対側の、地下にある店に入った。
入ってから気づいたのだが、どうやら大量の弁当注文を受けてえらいことになっている様子。
ライブに間に合わなかったら困るなあと思っていたら、僕から見える席に座ったお客さんの荷物が目に入った。あ、ヴァイオリンじゃないかあれは?
よく見たら藤本美樹さんじゃないですか。他のメンバーの方々はいらっしゃらない様子。
そんなこんなでようやく出てきた料理をあわててかき込むように平らげて急ぎ会場へ。
・・・まだ誰も来てない?
ちょうど出てきたスタッフに問い合わせて「チケットをお持ちなら、6時までに来て頂ければ整理番号順に入れますよ」と前回とはえらい違いの丁寧な対応。
時間があったので「そうだ、メモ用のザウルス忘れてた!」と気づいてコンビニまでノートを買いに。
戻ってくる頃には既に列が出来ていました。

 さて、会場は地下。一階層分くらい降りると受付、そこからさらに降りて2階席とバーカウンターのフロア。吹き抜けになっていてステージが見下ろせます。
木で出来た床がログハウスっぽくて良い感じ。
一部のスペースを使ってスタッフさんがCDを売ってました。とりあえず席を確保するためさらに1階席へ降りる。
今回は残念ながら最前列は取れなかった。仕方ないので2列目にキープ。
ドリンクを取ってきて落ち着いて見回すと、レンガ風のタイルを敷き詰めた床や、石切場のような雰囲気の石壁が良い雰囲気。ステージの奥行きもたっぷりあり、グランドピアノの後にも余裕のスペースが伺える。

 どうやら後の席の二人はプログレファンらしく、僕にはわからないマニアックな会話が展開されている様子。前回はいとうかなこさんのファンが多かっただろうからゲームの話をしている客もいたりしたんでゲームのイベントに来てるという雰囲気が半分くらいあったんだけど、今回はホントにライブに来たって感じだなあ。

 まだ時間があるので周りを見回すと、なにやらしっかりした食事を摂っている人が多数。
テーブル備え付けのメニューを見る限り、右斜め前の人が食べているのは「ラフテー丼(680円)」。おいしそうだ。これなら事前にあわててかっ込んでこなくてもよかったなあと。
料理も前回よりこっちのライブハウスの方が良い感じだなあ。
そして通路の余裕がある座席の間を、店員が注文を聞いて回っている。料理良し、サービス良し、いいとこですねここは。
一階席を振り返ってざっと数えたら70人くらい?
かと思ったら2階席併せて130人ほどの客が入ったらしい。収容人数もなかなかのものだ。

ライブ開始
 最初はアイリッシュハープ奏者の坂上さん。
30センチくらいの低い椅子に座って構えると頭の高さと楽器の高さが並ぶくらいのサイズのやや小型のハープだ。
音色はやや硬い感じで、すこしチェンバロっぽい感じもする。
1曲目 Lord Galway's Lamentation
 オ・カロラン(ライブ中は坂上さん曰くオケロラン)の曲らしい。曲名はネットでオ・カロランの事を書いているサイトから見つけてきたもので、ちょっと間違えてるかも知れないけど。ラメントという部類に含まれる曲らしいです。
 アイリッシュハープは初めて聞く音色。少し疲れが溜まっていたらしく、ちょっとうとうとしてしまった。それほどに心地よく、うっとりと聞き入ってしまう感じだ。

2曲目 ラスノア
 民謡を元にしたオリジナル曲。
ラスノアというのは日本の「こぶとりじいさん」ににたお話らしい。
 悲しい感じの旋律。ラスノアは後々妖精に気に入られて幸せになる、らしいんだけど多分の曲がイメージしているのはまだそこまで行って無くて辛い時期の話なんじゃないだろうか。
そうでなければ過去の思い出を振り返るような、郷愁を感じるような曲にも思えた。

3曲目 デイグルズビュー
 深夜アニメ「灰羽連盟」に歌モノとして使われた曲なんだとか。そのときの名前はワンダラー
 最初はアンニュイというか、けだるい感じの曲だったのだが、途中からは明るく、子供がはしゃいでいるような雰囲気の曲になった。
暗いようで明るいような不思議なメロディ。

4曲目 Mervyn Pratt
 ちょっと落ち着いた感じの曲。
当時は曲を贈られたパトロンの名前をタイトルにつけることがよくあったらしく、この曲もそう。
非常にゆったりしていて、もしその人をイメージして曲を作ったのだとすれば、この曲の名前になった人は女性だったか、穏やかな気質の人だったに違いないと思ったりした。

5曲目 Sunset Child
 これは坂上さんのオリジナル曲。タイトルに意味は無いのだそうな。
僕は夕暮れというよりは木陰で過ごす午後、というイメージだったけど。大きな木によりかかってハープを弾いているようなイメージが近いなあ。

 ここでフィドルの明石さんが登場。
6曲目 Separation of Soul and Body
 フィドルがポジションチェンジしたりビブラートかけたりしてないのは、ヴァイオリンでなくフィドルだからなんだな、と思いながら聞いていた。
 魂と体の分離、といわれるといまいちこの曲ではピンとこないのだけど、当時はダンスミュージックだったのかもしれない。

7曲目 Peggy Morton
 これもパトロンに贈った曲みたい。
どうも6曲目と続けて演奏したんだけど、どこで次の曲になったのかよくわからなかった。

 ボーカルの美濃さんが登場。
8曲目 サリーガーデン
 美濃さんは普段ライアという楽器で弾き語りする人らしい。「千と千尋の神隠し」の主題歌を歌ってる人の楽器もライアらしい。アイリッシュハープとは違うので注意。弦の張り方も奏法も違うのだそうで。
ビルマの竪琴とも違う、という話も。年配の人はよくこっちと間違えるらしい。
 サリーというのは柳の木、だそうで。
歌詞の内容はわからないけど(その柳の木の沢山ある湖畔の美しい景色をうたったものらしい)優しい歌声だった。

 ブズーキー奏者の石沢さんが登場。
9曲目 ブレトン・チューン
 ブズーキー、という楽器。本来はギリシャの楽器だとか。
フランスのブルターニュ地方にはケルトの風習が残っている地域があるらしく、その地方の、ちょっと大陸的な感じの曲を3曲続けて。メドレーらしいけど、一つの曲に聞こえて違いはわからなかった。

10曲目 エア → マーチ → ジグのメドレー
 エアというのはゆったりした曲で、マーチは「行進曲」のマーチとはちょっと違う感じ。ジグというとアイリッシュのよくあるダンスミュージックだけど今日のはハープだからかちょっとおとなしめだと思った。やっぱりダンスミュージックというなら打楽器が入らないと踊りやすくならない気がする。


ここでアストゥーリアスにバトンタッチ。
1曲目 渡り鳥
 渡り鳥というのは普通群れで越冬するために南へ下り、暖かくなったら北へ戻るという生き物だったと思っていたんだけど、この渡り鳥は孤独と凍えるような寒さを感じる。きっと群れからはぐれてしまったのと、南へ向かうのが遅れてしまったのだろう。
 そんなイメージで聞いていた。中盤まではもの悲しく、後半はドラマチックに盛り上がる。

2曲目 Distance
 他のレポートを見ると「音響があまり・・・」という声を良く聞くんだけど、ステージから近かったせいかあまりそういうのは感じなかった。むしろ良く感じるくらいで。
今回はよく強弱がついているように感じ、そして大山さんのギターの低音が響く。
藤本さんのヴァイオリンも、まだ完璧とはいかないまでもずいぶん馴染んできた感じだ。そして今回の筒井さんのクラリネットがなんだかJAZZっぽく感じた。

少しBajaProgの話を交えて次の曲へ。

3曲目 Adolescencia
 僕の目線とピアノの鍵盤の高さがほぼ同じになったため、跳ねるような川越さんの手がよく見える。
激しくたたきつけるような指も、やさしくなぞるような音も手に取るように。

 ここでは藤本さんが他のバンドにゲストで出たときのエピソードなど。
 あと、21/16拍子を英語とスペイン語でMCしたらあんまりわかってもらえなかった、とか。

4曲目 かげろう
 この曲に限って言えば、藤本さんのヴァイオリンに違和感なしという感じ。
なんか筒井さんのクラリネットからぎこちなさが無くなってなめらかに、余裕を感じる。

5曲目 Bird Eyes View
 今日は大山さんのギターがガットギターじゃないせいか音が柔らかく感じる。
ヴァイオリンの音は音響のおかげか音量十分なんだけど、なんか響きの減衰が激しく感じた。ピックアップの性能のせいだろうか?
前回の3月のライブよりもなんか勢いがあるなあと感じる。
そしてこの曲、今回ピアノのアレンジが若干違う。カッコイイ。

6曲目 Ryu-Hyo
 あ、リコーダーが白くなってる?
どうやらクラリネットのピックアップをリコーダーにも付けられるように楽器を替えたのだろう。
特に音に変化無し。ここまでのステージを見て、メキシコ帰りの影響か、今日は4人の演奏が一回り大きくなっているような感じがした。

ここで大山さん以外の3人が退場、ハープの坂上さんとヴァイオリンの北辻みささんが登場。

7曲目 タイトル無し
 16年前に、ZABADAKの上野洋子さんと坂上さん、大山さんで演奏した無名の曲をヴァイオリンにアレンジした曲。
ちょうどさっき藤本さんの音があまり響かない気がする、と書いたが、比べてしまうようでアレなんだけど北辻さんの音がとてもよく響くような気がする。楽器もピックアップマイクも違うからかもしれないけど。結果として音に出るのだからこのへんの道具の選び方も大事なんだろうなと思った。
そして坂上さんのハープが時折ささやくように。良い意味で「あ、これは?」と気になってとてもよかった。

8曲目 Luminous Flower
 初公開の曲。今回は坂上さんを交えたハープアレンジで。
元は「シャマナ・シャマナ」で使われた夜光花という曲。
実は前々からこの曲はライブで聴いてみたいなあと思っていたのだが、いや、すごい。
ちょっとサントラの所とは展開の仕方が違うんだけど、ぐいぐいと感情を引き上げるような曲展開とヴァイオリンの音色に思わず涙目に。

9曲目 Rogus
 オフィシャル掲示板でも一時期話題になった曲。これも初公開。
ゲームのためにずいぶん昔書いた曲、という事だけど、とてもカッコイイ曲だ。
エレクトリックのアストゥーリアスのアルバムは最近そんなに聴かないんだけど、なんども聞いているので「あ、この曲しってる。あー、なんだっけ」と思いつつ曲に引き込まれること。
基本のメロディをけっこう繰り返すんだけど、その繰り返しがまた効果的で、高い塔の螺旋階段を駆け上がるかのような気分。イメージ的には夜明け直前の石階段で、塔の頂上にたどり着くと登り始めた太陽の光がまぶしい、という感じ。
そしてピアノソロがまたカッコイイ。そして筒井さんの音がけっこう前面に出てくる。
さっきのLuminous Flowerに加えて、涙を堪えながら聞いていた。

10曲目 Global Network
 「北辻さんのテーマのような曲です」と紹介されたこれ。
もしかしてこの曲がなかったらAc.Asturiasは結成されなかったかもしれませんねえ。
おなじみになりつつある各人のソロもあり、そしていつもとまた違うアレンジのヴァイオリンが格好良く。

ここでメンバー紹介。
そして次回のライブ告知。8/14愛知県岡崎市でのライブの情報、そして10月のPOSEIDON Festivalの話。

11曲目 Marching Grass on the Hill
 本日ラスト。まだ聞いてない曲が・・・と思いつつも堪能。
いつもはRyu-Hyoがラストなので意外だけど、組曲形式でそれなりにボリュームも起伏もあるこの曲がラストに来るという編成も悪くないかも知れない。

アンコール

1曲目 Tempters of Providence
 11曲目で最後と聞いて「え、今日は聞けないのか?!」とがっくりしていたら、アンコールでやってくれました。
そう、やっぱこれがなくっちゃね。でも個人的には、Global Network→間髪入れずにTempters of Providence、という組み合わせが非常にツボなので今度はまたその組み合わせで聞きたいですね。
しかし、曲の頭から最後まで手に汗握りしめながら噛みしめるように聞きました。
いつもと違うポルタメント(グリッサンド?スライド?)に「こんな風にしてもかっこよさは変わらないなあ」と関心したり。

2曲目 紅江(べにこう)
 川越さんと藤本さんだけが残って。
数日前にレストランで演奏した曲らしい。どこか中国っぽい旋律。たしかに雄大な川の流れのようなイメージ。この曲とても気に入りました。

総評
 坂上さんのパートはどうにもゆったりと癒し系で、ついうとうとしてしまった。
しかしこれはかなり癒し系だなあ。
大山さん曰く「一家に一台欲しい」という。寝る前に聞いたらよく眠れそうな感じ。
強いて挙げるなら、どの曲も同じような感じに聞こえるので曲名と曲のイメージが繋がらず覚えづらいという所か。
当時のケルトと今の日本では感覚も違うしなあ。

 アストゥーリアスの方は、二人のヴァイオリニストが同時にステージに上がるというシーンを期待したんだけどそれは無しでした。やっぱ二台にわかればヴァイオリンのパートを考えなければならないとなるとけっこう難しいんでしょうかね。
 大きく違いを感じたのは筒井さんが今まで中衛くらいの位置だったのが、前衛に出ても遜色ない演奏をするようになったこと。
藤本さんの演奏が大分アストゥーリアスに馴染んできて違和感が無くなってきたこと。
アストゥーリアス全体を通してはやっぱりメキシコ凱旋ということで一回り大きくなった気がしました。
そして約10ヶ月ぶりの北辻さんの演奏のすごさを再確認。聴きに行って良かったです。


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